親が認知症で徘徊への対策が必要な場合、本人や状況に合った徘徊対策グッズを選ぶことが大切です。
そこで「徘徊の対策グッズの種類や、どこでどのように使いたいか、どのような人に効果的か」をわかりやすく説明します。
ドアや玄関を通過した時、止める・知らせてくれるもの
「部屋・玄関を出る」など外に出る前・時点の段階で発見することができるため、家族の心労や疲労を最小限に食い止めることが可能です。
大きくわけて5つあります。
概要 | メリット | デメリット | 費用 | |
内鍵 | 室内側で開錠・施錠をする | 簡単に取り付け可能。低価格 | 粘着テープで固定タイプは外れることもあり | 数百円~1万円 |
両面シリンダー | ドアの内外側の両方に鍵穴がある | 鍵がなければ開けられない | 鍵の紛失時は解錠不可 | 5,000~3万円 |
補助錠(窓用の補助錠) | メインで使用する鍵とは別に取り付ける鍵 | 簡単に取り付け可能。低価格 | 窓用では力がある男性だとロックを解除できてしまう | 数百円~5万円 |
サムターン | 「つまみ」を取り外しできる鍵 | つまみを保管することで開けられない | 他に比べて費用がやや高い | 2万~6万円 |
人感センサー | センサーにて通知 | 簡単に設置可能 | 本人が通るところに設置しないと反応しない | 3,000~5万円 |
内鍵
室内側で開錠・施錠をする鍵のことです。
簡単に後付けできる商品が多く、「粘着テープで固定するもの」「ドアを挟んで固定するもの」などもあります。
簡単に取り付けられるのが掛金錠です。
大掛かりな工事をする必要がないため、自分でもすぐに取り付けられます。1つ数百円から数千円で購入できるため、2カ所に取り付けても負担は少ないです。
リモコン式はドアの内側であれば好きな場所に取り付けられるリモコン式の鍵もあります。
他の鍵よりも大きいですが、横向きでも縦向きでも取り付けられて便利です。
取り付け可能かサイズや材質・タイプなどに注意してください。
そのためリビングや玄関の扉に付けるなどして、身体的自由を奪わないようにすることが大切です。
両面シリンダー
ドアの屋外側・室内側の両方にシリンダー(鍵穴)があるカギです。
室内、外とも、キーを挿さないと動作できないタイプになります。
室内側からもキーで施錠できますので、高齢者がキーを持っていなければドアは開けられません。
玄関ドアによっては、既存のカギをこのタイプに交換できるものもあります。
交換できない場合は、内玄関ドアを設置し、そのカギを「両面シリンダータイプ」で対応すればOKです。
キーを無くしてしまった場合は、解錠できなくなります。
外から入れないだけでなく、室内から外に出る事も不可能になります。
「暗証番号タイプ」もありますが価格がやや高くなります。
補助錠
メインで使用する鍵とは別に取り付ける鍵です。
シリンダータイプや電子錠タイプなど、機能性や開錠方法は製品によって様々です。
窓用の補助錠
徘徊防止対策というと玄関の鍵だけを想像してしまいがちですが、実は窓から外に出て徘徊してしまうというトラブルもよくあります。
防犯対策にも使われる鍵で、窓に取り付ける鍵よりも簡単に取り付けられるのが、サッシにはめ込むタイプの補助錠です。
取り付け方はいたって簡単で、サッシに鍵をはめ込んで幅を調整すれば完成です。
28mmから42mmの間で調整できる商品が多いため、ほとんどの家の窓に取り付けられるでしょう。
ただし問題なのは、力のある男性は簡単にロックを解除できてしまう点です。(つまみ部分の鍵が外せるのもあります。)
サムターン
鍵を内側から開けるときに使う「つまみ」のことを「サムターン」といいます。
このサムターンを取り外しができる鍵に取り替えることで、夜中寝ているときに玄関の鍵を開けて1人で外に出られることを防止することができます。
サムターンをしっかりと保管しておけば、夜に玄関を開けられる心配はないので落ち着いて過ごすことができます。
徘徊防止の鍵を取り付けるなどの際に、住宅の改修の範囲に認められる場合は、上限20万円までで保険が適用できる場合があります。
簡単ににいうと、工事の後に工事費用の9割、上限の20万円なら18万円が支給されます。
人感センサー
③見守り・ベッドセンサー表比較!で詳しくまとめています。
部屋やベッド周りだけでなく廊下や玄関にも簡単に設置可能です。
外にいるとき、知らせてくれるもの
外出してもGPS端末の現在位置(地図情報) が確認できます。
【駆け付けサービスあり】
概要 | 初期費用 | 月額料金 | |
セコム みまもりホン | 携帯電話の機能あり。ストラップを引くだけで駆け付ける | 10,000円 | 2,200円 |
ココセコム | 通報ボタンを押すだけ駆け付ける。シンプル機能。 | 5,000円 | 900円〜 |
アルソック「まもるっく」 | ボタンでの通報、動きがない時や転倒時も通報。通話機能あり。 | 4,500円〜 | 1,100円〜 |
セコム「マイドクターウォッチ」 | ボタンでの通報、動きがない時や転倒時も通報。 | なし | 900円 |
GPS
認知症の方の行方が分からなくなってしまった場合に備えて、GPS端末をつけておく方法も有効です。
本人にGPSを内蔵した端末を持っていてもらえば、どこにいるかをスマートフォンやパソコンで確認することが可能です。
財布やスマホを持ち歩かない方には、首にかけられるペンダントタイプや、財布やかばんに入れられるカード型、靴につけられるものなど、タイプがあります。
自治体によるレンタルもあるため、このような機器を効果的に利用すれば介護負担軽減につながります。
セコム「みまもりホン」
安否確認・現場急行・位置検索ができる。
ほとんどの警備会社の「駆けつけ」は在宅時だけですが、「みまもりホン」は自宅でも外出先でも駆けつけてくれます。(別途料金)
もしもの時はストラップを引っぱるだけで駆け付けてれます。
ココセコム
セコムの駆けつけ・位置検索の機能を、安い費用で利用できます。
通報ボタンを押すだけで駆け付ける、シンプル操作。
アルソック「まもるっく」
駆けつけ・位置検索・転倒感知した時の連絡、着信のみの通話の機能あり。
ボタンでの通報だけでなく、転倒したときも感知してアルソックに自動通報されます。
一定時間連続して操作やセンサーが反応しない時はアルソックに自動通報されます。
指定した8件までの着信を受けることができ、ハンズフリーで会話ができます。
2年以上使うなら「お買い上げプラン」がお得です。
「お買い上げプラン」機種料金21,500円、月額料金1,100円、契約手数料4,500円
「レンタルプラン」機種料金0円、月額料金2,000円、契約手数料4,500円
駆け付け料金1回:別途6,000円
セコム「マイドクターウォッチ」
※セコムホームセキュリティに加入している方のみ利用できます。
駆けつけ・位置検索・転倒感知した時の連絡
体の動きが一定時間ないときはセコムに自動通報されます。
ボタンでの通報だけでなく、転倒したときも感知してセコムに自動通報されます。
1日の消費カロリー表示、1日の歩数表示、日付時刻表示の機能あり。
【駆け付けサービスなし】
概要 | 初期費用 | 月額料金 | |
認知症徘徊GPSセンター | 現在位置と移動経路もわかる。 | レンタル0円 | レンタル2,800円 |
soranome(ソラノメ) | 現在位置、エリア通知、SOSボタンあり | 3,000円と本体価格13,200円、 | 490円 |
みもりGPS | 現在位置、乗り物移動通知、エリア通知、現在地通知ボタンあり | 7,800円 | 680円 |
みまもるワンGPS BoT | 現在位置、移動履歴 | 4,800円 | 480円 |
ファミリードット | 現在位置、エリア通知、乗り物通知 | 14,880円 | 0円で2年間利用できる。3年目以降は有料 |
ソフトバンク「どこかなGPS」 | 現在位置、移動履歴、エリア通知、現在地通知ボタン、離れたアラート、 | 本体価格13,200円のみ | 0円、3年目以降は月額440円 |
認知症徘徊GPSセンター
「初期費用不要(レンタルプラン)」「契約期間1ヶ月~」「位置検索無制限」で、使えるか・いつまで使うかわからない不安を解消します。
「今の位置」だけではなく、その位置に行くまでどういう「移動経路」だったかを把握することができます。
GPS端末を紛失・破損・改造された場合は9,000円(税別)がかかります。
レンタルは解約時に返却必要(送料はお客様負担)
「購入プラン」初期費用59,800円、2年契約月額0円。2年以上使うなら「購入プラン」がお得です。
soranome(ソラノメ)
都市部や山間地など測位信号が届きにくい場所や通信できない時間でも、より正確で誤差の少ない位置情報を取得可能。
端末購入代金13,200円(税抜)を550円×24回割賦払いできます。一括払いも可能。
10か所までエリア登録可能、 指定したエリアの入出時にスマホに通知が届く。
SOSボタンを押すと登録者のスマホに通知が届く。
GPS端末本体のバッテリーが少なくなると、保護者のスマホに通知が届く。 充電しましょう。
地下鉄では受信困難。契約縛りなし。
みもり GPS
位置情報を複数のスマホを登録できます。過去3ヶ月の行動履歴を保存できます。
移動する速度を感知して電車やバスに乗ったことを、ご家族のスマホへお知らせ。
活動範囲を設定、指定された範囲の外に出たら、ご家族のスマホへお知らせ。
設定した危険エリアに侵入したら、音声で注意してくれます。
GPSのボタンを押すと自分から現在位置をご家族のスマホへ知らせることができる。
バッテリーがの残量が減ると、ご家族のスマホへお知らせ。約10日バッテリーが持つ。
契約縛りなし。
みまもるワンGPS BoT
AI(人工知能)が現在位置を把握、いつもと違うと判断すれば登録者に通知。
移動履歴も表示される。
バッテリー1400mAh。(おおむね10日に1回程度の充電)
月額利用を解約すると、購入したBOT本体は再利用不可。契約縛りなし。
FamilyDot(ファミリードット)
機器を購入すると、毎月の支払いは0円・無料で2年間使用できます(完全買い取り)。別途5,000円(税別)で1年間の利用延長ができます。(3年目以降の月額料金を換算すると1か月:約417円)
行く場所を登録、場所に入った・出た・乗り物での移動の3種類の判定でスマホに表示する「エリア通知と乗り物通知」が特長。
ソフトバンク「どこかなGPS」
アプリを開くだけで居場所がわかる。地図で現在地を表示します。
最大3日分の移動履歴を保存。
どこかなGPSがスマホと一定距離離れるとスマホのポップアップ表示でお知らせします。
外出中の迷子防止として活躍します。
充電式リチウムイオンバッテリー 397mAh(いまどこ検索をONに した場合、約4日間使用可能)
防水・防塵機能:IPX7/IP6X規格準拠。
登録したエリアへの到着・出発を検知し、メールでお知らせ。最大5か所まで登録可能。
本体中央のボタンを押せば、自ら現在地を登録者にお知らせできます。
その他の徘徊防止対策
①デイサービスなどの介護サービスを利用する。日中に活動的になることで落ち着きやすく安眠しやすくなります。
②自治体が運営している「地域包括支援センター」に、徘徊防止対策について相談しておきましょう。もしものときに力になってもらえるかもしれません。
高齢者のお住まいの高齢福祉課・介護保険課などで調べてみるのもいいですね。
③認知症の状態によりセキュリティ会社の「見守りサービス」に加入しておくことも検討しておきましょう。
④上着に名前や電話番号を書いた布を縫い付けたりするのも一つですが、靴の種類と数は限られているので、靴のかかとに名前などを記入する・お名前シールを貼るのもいいですね。
本人の住所や電話番号などの個人情報を見られたくない方はケアマネの事務所名であれば、必要時には役所などで連絡先を簡単に調べることが可能です。その場合は上着のうしろに名前とケアマネの事業所を書いた布を縫い付けたり、アイロンで接着するお名前シールを利用するのもいいと思います。